(参考:障害者差別解消法・人権教育プログラム)
法律で規定されていることを確認しておきます。
「障害を理由とする差別等の権利侵害行為の禁止」と「社会的障壁の除去を怠ることによる権利侵害の防止」です。
簡単に言えば、
「差別はいけません」「合理的配慮しなきゃいけません」ということです。
もう少し掘り下げてみましょう。
具体的措置
差別を解消するための措置
差別を解消するための措置として、主となるのは「差別的取り扱いの禁止」と「合理的配慮の不提供の禁止」です。
しかし、それぞれ国・地方公共団体と民間事業者では扱いが異なります。
差別的取り扱いの禁止 | 合理的配慮の不提供の禁止 | |
国・地方公共団体 | 法的義務 | 法的義務 |
民間事業者 | 法的義務 | 努力義務 |
具体的な対応
政府全体の方針として、差別解消推進に関する基本方針が策定(閣議決定)されました。
国・地方公共団体は取り組みの要領を策定(地方の策定は努力義務)。
民間事業者にもガイドラインが策定されました。
また、民間事業者に対しては実効性の確保のため、主務大臣による報告徴収、助言・指導、勧告を行います。
差別を解消するための支援措置
①紛争解決・相談
体制の整備 → 既存の相談、紛争解決の制度の活用・充実
②地域における連携
障害者差別解消支援地域協議会における関係機関等の連携
③啓発活動
普及・啓発活動の実施
④情報収集等
国内外における差別及び差別解消に向けた取り組みに関わる情報の収集、整理及び提供
基本的な環境整備
次のような「基本的環境整備」の最大限の活用が、支援につながります。
学校全体として、整備していくことが必要です。
- ネットワーク形成・多様な学びの場の活動
- 支援計画・指導計画の作成等による指導
- 専門性のある人的配慮(担任の任命を含む)
- 専門性のある指導体制の確保
- 施設・設備の整備
- 教材の確保(17条「本の活用」を含む)
- 交流・共同学習の推進
- 特別な指導(取り出し指導・学びの場の設定等)
学校における「合理的配慮」の観点
合理的配慮を進めるには①障害者から社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合、②双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされることが大切です。
合理的配慮を行うに当たって、学校は何をしなければならないか理解しておかなければなりません。
教育内容
- 学習・生活上の困難改善・克服のための配慮
- 学習内容の変更・調整
教育方法
- 情報・コミュニケーション・教材の配慮
- 学習機会・体験の確保
- 心理面・健康面の配慮
支援体制
- 専門性のある指導体制の整備
- 生徒・教職員・保護者等の理解啓発を図る配慮
- 災害時等の支援体制の整備
施設・設備
- 校内環境のバリアフリー化
- 発達・障害・特性等に応じた指導が出来る環境
- 災害時等への対応に必要な施設・設備の配慮
おわりに
中教審(令3.1.26)では、通級による指導を受ける児童生徒が増加している状況などを踏まえ、これからの特別支援教育のあり方を示しています。
通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった連続性のある多様な学びの場の一層の充実・整備を着実に推進するよう提言されました。
もう一度述べますが、合理的配慮の不提供は「差別」に当たります。
支援を要する児童生徒に寄り添った配慮ができるよう、特別支援教育に対する理解を深めていきましょう。
新学期まだまだ大変ですが、一緒に頑張りましょう。
応援しています。
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