日々行われるさまざまな「会議」。
どうも教員の行う会議は、意見がまとまらず、妥協するばかりの会議が多い気がします。
今回紹介するのは、ある企業研修で挙げられた、「組織力向上」に必要な「個人に求められる2つの資質」です。
これらが、現代のスタンダードとも言えます。
教員がこのアプローチを知り、実行することで、生徒にも「会議」の理念を、身をもって教えたいものです。
自分の意見が「絶対正しい」と考えない
一般企業の「コミュニケーションプログラム研修」で「原則」とされることです。
「人が正しい」と考えていることは、その人の経験上「脳」が判断しているに過ぎません。
「脳の判断はここに違い、環境や対人関係で変わる」ことが科学的に証明されています。
また、「自分が絶対正しい」と主張すると、「協働的」「建設的」に意見はまとまりません。
総合的に判断するには、理知的・思考的に「総合」する
実験
次の2つの意思決定を同時に行うものとします。それぞれの選択肢を全て読んで、自分でAとB、CとDのどちらが良いか決断してください。
決定要件1 次のいずれかを選択してください。 | 決定要件2 次のいずれかを選択してください。 |
A 確実に2万4千円もらえる B 25%の確率で10万円もらえるが、75%の確率で何ももらえない。 | C 確実に7万5千円失う。 D 75%の確率で10万円失うが、25%の確率で何も失わない。 |
この場合、AとDの組み合わせを選ぶことが多いそうです。(アメリカの大学での同様の実験では、73%がこの組み合わせでした。)
まずBとCの組み合わせは少ないでしょう。(アメリカの同実験では、わずか3%でした。)
さて、この組み合わせを選んだとき、結果がどうなるか整理しましょう。
ア AとDを選択すると、 「75%の確率で7万6千円失い、25%の確率で2万4千円もらえる」 | イ BとDを選択すると、 「75%の確率で7万5千円失い、25%の確率で2万5千円もらえる」 |
では、このアとイなら、どちらを選択しますか?
当然、損失が少なく、利益が大きいのですから、イになると思います。
ということは、最初にAとDを選んだほとんどの人は、判断ミスを犯したことになりますよね。
感覚的な「総合的な判断」はあてにならない
先の実験であったように、自分が感覚的にした「総合的な判断」はあてになりません。
「理知的・思考的」に確認して、「総合的な判断」をすることが必要です。
そのために、「頭の中」でなく、「メモ」や「記録」にして、しっかり全体像を把握することが大切です。
おわりに
これらは「行動経済学」や「人間行動学」の理論に裏付けられた視点です。
この研修では「人にはその人なりの判断基準がある」「他人の判断基準には自分の知らない決定要件があるかもしれない」と、構成員相互が認識していないのは「会議」ではない、と断じています。
「経験が少なければ判断誤差は大きい」「決定要件が少なければ理知的・思考判断も不十分になりやすい」とも言っています。
「学校」「企業」「地域(共同体)」も組織です。
組織力の向上には、各組織の構成員の知恵と力をうまく組み合わせる必要があります。
『自分の意見が絶対正しいと考えない』『総合的判断では理知的・思考的に「総合」する』ことが、『協働的』『建設的』な会議・話し合いには必須です。
自分と違う意見があったとき、妥協ではなく、新たな視点で新しい合意点を協働的・建設的に目指していきましょう。
1学期も残りわずかです。
一緒に頑張りましょう。
応援しています。
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