僕自身、若手の頃は本屋に入り浸って、教育関連の本を読み漁っていたことがありました。
しかし、その頃読んでいた本は「学級経営」とか「数学指導」など、自分のクラスや教科のことしか頭にありませんでした。
実際に現場に出てみるとわかるのですが、教員の役目は何もクラスや教科指導だけではありません。幅広い知識と教養が求められる職業だと思っています。
今回は、いくつか本を紹介します。
本屋に立ち寄った際は、一度手に取って見てはいかがでしょうか。
明確な「規準」基にした授業づくり
生活・総合 資質・能力の育成と学習評価(田村 学/編著、柴胡の会/著)
「子どもの見取り」を中心に評価する生活科や総合的な学習の時間。
活動はあっても、つい曖昧な評価になってしまい悩んでいる授業者は少なくないのではないでしょうか。
この本は、曖昧で分かりにくさを伴う評価規準を具体的に言語化し、目指す姿を明確化する方法を知りたい先生には必見です。
「主体的に学習に取り組む態度」を言語化するに当たり、この本の実践者たちが、「誠実性」「外交性」などの性格特性5因子をよりどころとした試みは興味深いと思います。
「学習評価を柱とした授業づくり」について議論し、「学習評価の視点から授業を変える」ことに挑戦した実践者たちは、「子どもの見取り」の精度が上がり、着実に授業改善に結びついているといいます。
そもそも「子どもを見取る」とはどういうことか、資質・能力を高めた子どもの姿とは何か。
第3章の実践事例にある評価規準、学習活動、知識の構造化、実践者が語る評価規準の明確化の効果などに多くのヒントがあります。
生活科、「総合的な学習の時間」のみならず、各教科・科目等において「子どものために良い授業をしたい」と願い、資質・能力の育成に取り組む授業者の参考になると思います。
図解・事例加えロングセラー
イラスト図解 AさせたいならBと言え 子どもが動く指示の言葉(岩下 修/著)
「もう少し詳しく話してみよう」
教室の中でこのような言葉が聞かれないでしょうか。
子どもたちは、どうにか考えようとします。
しかし、これで考え方が身につくでしょうか。
「もう少し」とは、どのくらいか。
どうすれば「詳しく」なるのか。
曖昧な発問や指示は、子どもたちを混乱させます。
そこで参考にしたいのがこの本です。
この本は、30数年前に刊行されましたが、今も多くの教員が求めてやまない本の1つではないでしょうか。
今回、新たにわかりやすくイラスト図解され、事例も増加されています。
著者の岩下修さんは「発問・指示によって、子どもの知的活動は変わる」と言っています。
この本では、子どもと教師の双方に「知」を発生させるための原理原則を活用しています。
子どもだけではなく、知的な言葉の使い手になつ教師にも「知」が発生する点が大事です。
Aという状況をつくりたいなら、知的に動かすためBという発問や指示をする。
Bには「物・人・場所・数・音・色」の6つを踏まえると考えやすくなります。
誰にとってもイメージしやすく、全員に伝わることが大切です。
たとえば、A「音読を上達させたい」→B「気をつけたい言葉を5つ○で囲む」と指示を出します。
これだけでもグンと音読が上達するそうです。
子どもの心を動かす言葉の事例は豊富に掲載されています。
この本からヒントを得て、実践されてみてはいかがですか。
おわりに
いかがだったでしょうか。
校種問わず、たくさんの気づきが得られる本を紹介しました。
また、紹介していければと思っています。
いよいよ2学期も後半戦。
一緒に頑張りましょう。
応援しています。
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