特別な支援を必要とする生徒を対象とする支援教育は、障害者権利条約への署名から様々な法改正などを経ながら充実が図られてきました。
障害者等が積極的に参加・貢献していくことができる共生社会の形成を目指し、新時代の特別支援教育の在り方を確認していきましょう。
特別支援教育とは
特別支援教育とは、特定の子どもたちに特別な支援を行うことではありません。
「すべての生徒に対して個に応じた指導を行うにあたり、その程度に応じて、適切な手段で支援を行うこと」をいいます。
つまり、特別支援教育は、個に応じた指導の延長上にあると考えなければなりません。
合理的配慮の視点ですね。
特別支援教育で意識したいこと
特別支援教育で意識したい3つの学びを紹介します。
「認知の学習」
認知:外界にある対象を知覚した上で、それが何か判断・解釈する過程
「般化の学習」
般化:取り組んで身に付けた行動を、他の場面・他の状況に活用・発揮すること
「社会性の学習」
社会性:他者との協調性・対人的積極性・対人的活動性など、対人関係を良好に保ち発展させる個人の特性
「合理的配慮」は法で決められている
障害差別解消法の施行(28.04.01)に伴い、障害をもつ人に「合理的配慮」を行わないことは「差別」であるとされました。
つまり、法に触れることになるということです。
学校では、拡大文字教材、ふりがな、テストの時間や場所や机に関する配慮が必要です。
具体的な例については、文科省HPで確認をしておきましょう。
※合理的配慮の条件には「障害者から意思の表明があった場合において」「その実施に伴う負担が過重でないとき」の2つがあります。
合理的配慮は、場面や状況に応じて異なり、個別性の高いものです。
具体的な手段や方法については、代替措置の選択も含め、建設的な対話による相互理解や柔軟な対応が大切です。
「インクルーシブ」の解釈の拡大
これまでの「インクルーシブ」といえば、「障害をもつ人ももたない人も、共存できる社会を」とされていました。
最近は、「性的マイノリティ(LGBTQ)の人も共生できる社会を」と変化しています。
「性」に対する考え方も男・女の2つではなく、複合的なものとなっています。
次の4つの指標の総体と考え、いずれもスペクトラムとして捉えます。
- 身体的な「性」
- 自覚している「性」
- 社会的な「性」(口調、服装、自己表現、行動に表れる「性」)
- 「性」の嗜好(愛情を感じる、好きになる「性」)
現在では「インクルーシブ」といった場合、生徒の「性」に関わることも考慮する必要があります。
おわりに
これからの教員には、障害の特性等に関する理解や基礎的な知識など特別支援教育に関する専門性が求められます。
通級や特別支援学級を担当する場合、個別の指導計画の作成や指導、関係諸機関との連携の方法などが求められ、幅広い知識や技能の習得が必要となってくるでしょう。
教科の専門性だけでなく、特別支援の視点に立った指導ができるよう学び続けていきましょう。
コロナ対応等で大変な時期ですが、一緒にがんばりましょう。応援しています。
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