学校の役割の中で、多くを占めるのは学習支援とよりよい人間関係の構築です。
これらを達成するためには「構造化」と「意識化」が必要です。
「構造化」とは、「情報の関連性を整理すること」
「意識化」とは、「自分事としてとらえ、自分の行動に波及させること」
「知識の構造化」と「人間関係の意識化」
これら2つの相互作用によって、得られる成果とは何か。
僕なりの解釈をふまえて、紹介していきます。
学級経営や授業展開のヒントになれば幸いです。
知識の構造化
知識の構造化の力が向上すると、人間関係を「感覚的」だけでなく「論理的」にとらえる力が向上します。
感覚による指導からの脱却
指導の方向性、指導の技術、内容のつながり、評価等の関連性を教員が整理して、教材研究・授業指導を行う。(授業の構造化)
孤学から協学へ
生徒の学習の情報の増加、発想・着眼の広がり、弱点の克服、自己の学びの再整理を行う。(学習の構造化)
2つの構造化
授業の構造化(教師の視点)
授業の型を作り、型の選択肢を増やします。
授業を構造化することで、
- 教科を越えた授業研究が可能に
- 一斉教授の授業から協働的な授業に転換
学習の構造化(生徒の視点)
協働(相互)学習を体験させ、両者の伸びを目指します。
学習を構造化することで、
- 基礎基本が定着
- 主体的学習の姿勢へ
- 応用力・活用力の向上
- 発展的学習の進展
4段階授業の展開
2つの構造化を踏まえて、4段階授業の展開を考えます。
「指導→発想→共有→振返り」の流れで行うことをベースに、教師と生徒の視点を意識した授業を作っていきましょう。
教育をするのは我々教員です。教員がどんな教育を展開するかが大切です。
授業の構造化(教師の視点) | 学習の構造化(生徒の視点) | |
1 指導 (端的に) | ○教え込み とにかくしっかり端的に教え込む 覚えるべきものを明確に | ○習得 静寂の中で聞かせる 明確にノートをとる(指導が必要) |
2 発想 (ここで半分) | ○発問と発言 どんどん狙いに迫るよう発問し、発言を引き出す キャッチボールの時間 | ○思考 自分で考え、発言を考え、教科の見方・考え方を身につける 必要なら思考補助の資料・教材を準備 |
3 共有 (15分以上) | ○共有と相互教授 班やグループでの学習・思考の共有・理解の深化の時間とする 事前に学習事項の重点の整理を | ○定着 理解が十分でない生徒は仲間に聞く、理解している生徒はしっかり教える 「そんな考え方もあるんだ」が重要 |
4 振返り (短時間で) | ○評価 生徒の振り返りを確認し、学習の定着を見極める その日の授業の評価 | ○評価 何が理解できて、何が理解できていなかったかを確認、自分で評価分析 自分なりの次の目標の設定 |
人間関係の意識化
学習集団に望ましい人間関係を育成すると、授業効果も上がり、学習の定着度も向上します。(心理学的な視点)
自己分析・自己受容
自分の得意・不得意、好き・嫌い、考え方の特徴等、自分自身を見つめ、その状況にある自分を受け入れる
他との違いの受容
自分と他人の違う事(考え方、容姿、生活等)を分析し、違いは必ずあると考え、違いを受け入れる
「人間関係の意識化」の視点
人間関係の意識化には、「心理学的な視点」と「ソーシャルスキルトレーニング(SST)」が重要になります。
心理的な視点
人間関係作りの根拠を持つことが大切です。
具体的には、
- 心理学の知識を増やすこと
- QUやWISC・交流分析(エゴグラム)等を理解すること
ソーシャルスキルトレーニング
人間関係(学級)作りの技術を向上させます。
ソーシャルスキルトレーニングと言っても、手法は様々です。
スキルアップのために
- SSTの技術を知ること
- 総合や学活に活用すること
- 授業に活用すること
SSTについては、別の機会に紹介しようと思います。
おわりに
「知識の構造化」と「人間関係の意識化」
どちらも大切な視点です。
相互作用による学級集団の望ましい人間関係の構築を目指していきましょう。
いよいよ新学期が始まりました。
大変な毎日ですが、一緒に頑張りましょう。
応援しています。
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