皆さんの関わる家庭や職場等の組織で、誰もが気兼ねなく、自分の意見を率直に話せるような環境になっているでしょうか。
特に、「子どもから親に」、「部下から上司に」、「生徒から教師に」など、組織の中で弱い立場に置かれやすい人が自分のありのままの個性や考え方を認めてもらっているでしょうか。
今回は、組織における「心理的安全性」の重要性について紹介します。
空気を読む
日本にありがちな風習として、“空気を読む”文化があるとよく言われます。
よく、「空気が読めない人」は“KY”などと言われ、「和を乱す、周りが見えていない」などと非難されがちです。
その逆の「空気を読める人」とは、組織の中で権力をちぎっている人の考えを“忖度”し、その人が喜ぶように振る舞える人をいいます。
もし、親や上司、教師が「空気を読める人」ばかりを評価する傾向があるとしたらどうでしょうか。
そうした組織(学校)は「長いものに巻かれろ」的な意識が蔓延し、構成員(生徒)の自発的な意欲を削ぎ、さらに弱者や少数派へのいじめも生じやすくなります。
心理的安全性
近年、経済の不調が長引き、企業活力の低下も指摘される中で、組織における「心理的安全性」の重要性が唱えられるようになりました。
心理的安全性とは、対人リスクのある行動(上司の意に反する恐れがある意見を言うなど)を取っても、自分が組織の中で排除されず嫌われないといった“安心感”が全員に共有されている状態を意味します。
次のような項目が自分自身に強く当てはまるかどうかを組織のメンバーに確認してみるとよいです。
- チームの中でミスをすると、たいてい非難される。
- チームのメンバーは、お互いに相手の課題や難しい問題を指摘しあえる。
- チームのメンバーは、“自分と異なる”ということを理由に他者を拒絶することがある。
- チームの他のメンバーに助けを求めることは難しい
- チームの仲間と仕事をするとき、自分のスキルや才能が尊重され、活かされていると感じる。
※1、3、4は少ない方が望ましい。2、5は多い方が望ましい。
こうした組織運営のアプローチは「空気を読む」ことを過度に要求しがちな我が国社会のあり方に、鋭く警鐘を鳴らすものだと思います。
心理的安全性の高い組織のつくり方
では、心理的安全性の高い組織をつくるには、どのようにしたらよいでしょうか。
次のような取組を組織のリーダーが率先垂範することが求められると思います。
- リーダーが(部下等にとって)気軽に話のできる、親しみやすい人になる。
- リーダーが、各メンバーの個性や価値観を承認し尊重する。
- 失敗は学習の機会であることを協調する。
- リーダー自身も良く間違うことを積極的に話す。
- 仕事の取り組み方やチームへの貢献など、チームメンバーに対し感謝の気持ちを伝える。
- (会議などで)みんなが発言する機会を均等にもてるようにする。
- 個別面談の機会を定期的に設け、相手が腹を割って対話できる場を作る。
- 他者と比較せず、個人としての成長を評価して相手に伝える。
おわりに
いかがでしょうか。
もちろん、我が国固有の組織の文化の良い面はさらに伸ばしていくべきです。
ですが、人権尊重の立場からも、こうしたアプローチを積極的に取り入れていくことが望ましいと思います。
2学期も忙しいですが、一緒に頑張りましょう。
応援しています。
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