みなさんは自身の思い込みによって人を傷つけたりした経験がありますか?
今回はそんな「思い込み」が人権に関わるお話です。
マザーグース童話に、次のような歌詞が登場します。
As I was going to St Ives(私がセント・アイブスへ行ったとき)
I met a man with seven wives(7人の妻を持つ一人の男に会った)
And every wife had seven sack(どの奥さんも7つの袋をもって)
And every sack had seven cats(どの袋にも7匹の猫)
And every cat had seven kits(そして、どの猫にも7匹の仔猫)
Kits, cats, sacks, wives(仔猫、猫、袋、奥さん、)
How many were going to St Ives?(セント・アイブスに行ったのは何人でしょうか?)
この答え、わかりますか?
答えは・・・
さっきの答えは、「1人」です。
1行目に「私がセント・アイブスへ行った」と書いてあります。
他の「7」に関係するものは、皆「出会った」だけ。
この歌詞、無意識に「すべての仔猫、猫、袋、奥さんが行った」と思い込む人も多いようです。
つまり、「無意識に思い込み」をしていたということです。
アンコンシャスバイアス
「アンコンシャスバイアス」という言葉を聞いたことがありますか?
アンコンシャスバイアス=無意識の思い込み
日本では、「無意識の偏ったものの見方」「無意識バイアス」と訳されたりもします。
Googleが社員教育で扱ったことで話題となり、国内でもダイバーシティ&インクルージョンの推進を背景に、企業や自治体などの研修にも導入されています。
私たちは日々の生活で、数々の無意識の思い込みをし、それらはトラブルを起こすきっかけになります。
「無意識の思い込み」は、見るべきものを見失わせます。
「無意識の思い込み」は、人権上・人道上の配慮を見失わせます。
「無意識の思い込み」は、根拠を見失わせます。
そのため、私たちの「思い込み」をいかに払拭するかが重要です。
思い込みを起こしやすい事柄
個人情報
- 性別
- 年齢
- 出生
- 国籍
1.現在「性」の考え方は多様になっています。女なんだから・・・男のくせに・・・という思い込みはありませんか?
2.この年齢ならこうでなければ・・・と考える人は少なくありません。成長の速度も多様なはず。
3.「長男は・・・」「末っ子は・・・」という見方をしていませんか?
4.聞いたことのない国や地域名に対して「それどこ?」となっていませんか?国名と言語は別なのが普通)です。日本も単一民族国家ではありません。
思想・信条
- 思想・信条
- 能力
1.「○○教(宗)は~」好きな本や尊敬する人を聞くのも少し危険です。
2.「このくらいできなければならない」「君には無理だよ」
「(話すのが苦手な生徒に対し)きちんと話しなさい」
「(保護者に)特別支援学級(校)の方がいい」
「(要支援児童保護者に頭ごなしに)専門病院を受診してください」
これは・・・まずいですよね。
病気・傷害
- 病気
- 傷害等
1.「特別な病気」「汚い」「うつる」「普段の行いが悪い」と言ったりすること、ありませんか?
2.「あの人は特別」「あんな人(風)にならないように」「かわいそう」と言ったりしていませんか?
犯罪等被害
「被害者も悪い」「被害にあわない方法があったはず」「加害者がかわいそう」などと表現していませんか?
おわりに
私たちは日頃から誤解を招く「無意識の思い込み」をしています。
無意識の思い込みに気づくことは、いじめや差別、トラブルの解消にもつながります。
文部科学省もこのアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)の重要性を指摘しており、既に道徳や総合的学習の時間に取り入れる学校もあるようです。
自分の言動を今一度確認し、「思い込み」をなくせるようにしていきましょう。
夏も近づいてきました。
大変な日々は変わらずですが、無理をすることなく頑張りましょう。
応援しています。
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