現代は、新型コロナウイルス感染症などの疫病、台風や地震などの災害、AI技術の急激な進化により、世の中の変化が予測しにくくなっています。
このように、環境の変化が激しく、複雑さが増して予想がしにくい(VUCA)時代を、生徒が生き抜くためには「メタ認知(自分自身を客観的に認知する能力)」が必要になってくるのではないかと思います。
メタ認知の必要性やデメリットなど、ポイントを整理して、私たち教職員は何を意識するべきか考えていきましょう。
VUCA(ブーカ)とは
VUCAとは、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った造語で、社会やビジネスにとって、未来の予測が難しくなる状況のことを意味します。
V(Volatility) テクノロジーの進化や、それに伴ってさまざまな価値観や社会の仕組み、顧客ニ ーズなどが変化していくこと
U(Uncertainty) 温暖化や未知の疫病流行など自然環境の変化や政治・国家、制度などの不確実さ
C(Complexity) グローバルなビジネス環境では、その国の法律や文化、常識などさまざまな要因が絡み合って、ビジネスが複雑になっていくこと
A(Ambiguity) 変動性(Volatility)・不確実性(Uncertainty)・複雑性(Complexity)が複雑に組み合わさることで、因果関係が不明で、前例のない出来事が増えていくこと
メタ認知とは
「メタ認知」とは「認知していることを認知する」こと。
つまり、人が認知したきっかけから結果に至る全てを自分自身で把握することです。
自分が能動的に行なっている言動について、もう1人の自分が客観的な立場から、その言動を調整したり調和したりする能力のことをいいます。
メタ認知の「メタ」には、「高次の」という意味があります。
従って自分が「認知している」こと、たとえば記憶や思考、学習したことなどを、「高次の」(=メタ)視点から認知しよう、というのが「メタ認知」の直接的な意味になります。
必要性とデメリット
必要性
VUCA時代は、変化に柔軟に対応し、その変化を通じて自ら学習・成長することが大切です。
周囲の状況への感度を高め、事象に対する自身の認知の仕方が妥当であるかを確認し、見方や考え方をコントロールする「メタ認知」能力の向上が一層重要になります。
デメリット
他者との会話で、相手の反応を過度に意識すると、自分らしいコミュニケーションをとるのが難しくなります。
周囲の状況を察知し、過度に順応させて自分の認知をコントロールすると、自己主張や異論がしにくくなります。
適度に自分の認知状況をモニタリングし、コントロールできるようなメタ認知能力が必要になる。(学校生活で生徒がさまざまな学習や活動をするときの視点)
メタ認知と学習
メタ認知は学習にも影響を及ぼします。
メタ認知能力が高い人は、
良好な人間関係を築けます。
他人とのケンカでも、「なぜ相手が怒ったのか」「自分に非はなかったか」と客観的に分析できる。
変化の激しい時代に適応できます。
激しく変化する時代の中で、自分の知識や考え方は古くないか、遅れていないかなどを冷静に確認し、常に自分を変化させ、柔軟に対応できる。
自己分析能力が向上します。
自分の傾向や弱点を理解し、冷静に自己分析できるため、自分を成長させる機会が増える。
「主体的・対話的で深い学び」の
主体的(自分から)
対話的(他者と協働して)
深い(分析力を駆使して)
はいずれも「メタ認知」に通じます。
教員の意識として
授業で、生徒の「主体的・対話的で深い学び」を体現するには、教員に「メタ認知」への高い意識が必要です。
つまり、私たちも「メタ認知」の向上が求められるということです。
また、「メタ認知」の意識があると「クリティカル・シンキング(批判的思考)」ができるようになります。
「メタ認知」のない「批判」は「批判的思考」ではなく、ただの「他者批判」に過ぎません。
これは教育活動とは程遠いですよね。
おわりに
「メタ認知」は協働的な活動には、必須の意識であると言えそうです。
また、ノートや提出物の評価も「メタ認知」(分析・改善による「学び」の深化)に通じていると意識しましょう。
ノートなどには、自らの思考の過程や学びの調整を記入させることが大事です。
「メタ認知」を意識して、中学校での「学び」を捉えなおしましょう。
今年度も残りわずかです。一緒に頑張りましょう。
春はもうすぐそこです。応援しています。
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