教員が身に付けるべき力の中には、「外部との連携・折衝(せっしょう)力」があります。
「外部との連携・折衝力」とは、次のような力です。
- 保護者、地域、外部機関と連絡や協議事項を明確にして連携をとることができる。
- 保護者、地域、外部機関に必要な連絡を適時・適切にとることができる。
- 保護者、地域、外部機関の思いを受け止め、誠意をもって対応できる。
僕は若手の頃、ここでかなり苦労しました。
保護者や地域からの質問・苦情・要望への対応がうまくできず、問題が大きくなってしまうことがたびたび起こります。
そこで、今回は問題を大きくしない3原則を紹介しようと思います。
心情に理解を示す
これは怒りの増大を防ぐためです。
学校側の言い分があっても、怒りが収まるまではとにかく話を聞きます。
まずは、その「怒り」や怒りの裏にある「不全感・不信感」を理解するよう努めます。
ただし、単純に「同意を示さないこと」です。
理解はしても同調はしないことがポイントです。
学校側の言い分だけを説明しようとすれば、「話を聞いてくれない」と怒りが増大します。
これが、問題を大きくする要因になったりします。
事実に基づいて話す
これは、論旨をずらさないためです。
あいまいなことを言わないように努めます。
たとえば、
×「~していると思います」ではなく、
○「それについては確認していません」
などと言うようにしましょう。
あいまいな答えをすると、複数教員で対応したときにこじれます。
他の教員が次に対応したときに、
「言ってることが違う!組織としてどうなっているんだ!」
などと怒りを買う結果が待っています。
論旨のずれが問題をさらに大きくしてしまうので注意が必要です。
確認は「担当者」と行う
これは、問題の範囲を適正なものにするためです。
学校は組織です。
生活指導は生活指導部、学年行事のことは学年(学年主任や行事担当)など、それぞれ担当部署があります。
それをいきなり、
「管理職と相談して……」
としてしまうと、
「学校の組織の問題」もしくは「学校全体の問題」として答えたことになってしまい、問題を大きくしかねません。
管理職の次は教育委員会に……、となってしまいます。
さらには、教員の信用はなくなり、学校対応について後がなくなってしまいます。
そのため、原則は「担当者と相談して……」です。
生活指導や部活動 | 「 生活指導の担当と相談して…… 」 |
成績や評価について | 「 教科の教員と相談して…… 」 |
通知表について | 「 教務の担当と相談して…… 」 |
学年行事について | 「 学年で(学年主任と)相談して…… 」 |
問題の範囲を適正化・厳格化することが重要です。
おわりに
社会人経験がなく教員になった僕は、
教科指導でも、生活指導でも、部活動指導でも、
保護者・地域との対応に苦しみました。
「外部との連携・折衝力」は家庭や地域からの「信頼」に直結します。
保護者・地域との対応で悩む、初任者や若手教員のみなさんの力に少しでもなれたら幸いです。
コロナ対応等で大変な時期ですが、一緒にがんばりましょう。応援しています。
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