東京都の人権プログラムには「アイヌの人々」について詳しい記述があります。
でも、日本にたくさんの言語があるとされる以上、日本固有の言語は「日本語」と「アイヌ語」という認識では、人権上の配慮を欠くことになります。
今回は人権的配慮のために、日本固有の言語について紹介していきます。
「言語」と「方言」
UNESCO(ユネスコ、国連教育科学文化機関)では、「言語」と「方言」を区別していません。
北欧のスウェーデン語、ノルウェー語、デンマーク語、日本の方言ほどの差しかなく、互いにある程度話が通じます。
青森の西側の「津軽弁」と「秋田弁」、東側の「南部弁」と「岩手弁」みたいな感じですかね。
このような状況もあり、ユネスコでは「言語」と「方言」を区別せず、全て「言語」で統一しています。
「アイヌ語」と「日本語」は似ていない
アイヌ語(アイヌ・イタク)と日本語は、文型は主語・目的語・動詞の順で同じです。
しかし、言語形態は全く異なります。
なお、アイヌ語も日本語も起源となる言語は不明です。
アイヌ語:言語類型論で「抱合語」に分類、シベリアから北米に多く分布する言語が多い。
日本語:言語類型論で「膠着(こうちゃく)語」に分類、アジア西部から東部に多く分布する言語が多い。
アイヌ語話者は、かつてアイヌ民族の主たる居住地域出会った北海道、樺太、千島列島に多く分布していました。
現在は移住に伴い日本の他の地方(主に首都圏)にも話者が拡散しているようです。
他にもある日本固有の言語
かつて日本領だった南樺太に話されてきた言語に、抱合語に分類されるウェルタ語やエヴェンキ語、言語系統不明のニヴフ語があります。
ウェルタ語は紀元前頃に発生、江戸時代後期に蝦夷地でも使われていたようです。
現在の話者は数人で、文字を持たないと言います。
ニヴフ語はアムール川流域から樺太を通じて蝦夷地でも使用されていたとされ、こちらも文字を持ちません。
現在、日本にニヴフ語の話者がいるかは不明です。
これらの言語の話者に、ソ連の南樺太占領後の日本本土移住者やその子孫がわずかながらに存在します。
中世以降、ヨーロッパ人が日本に来訪するようになり、一部の単語が外来語として日本語にも定着しましたが、言語自体は定着しなかったようです。
おわりに
重ねて書きますが、ユネスコでは「方言」も「言語」ととらえます。
日本も「多言語」国家であり、「偶然その言語がお互いに話しても通じるほどに近い」と考える必要があります。
また、アイヌについては道徳の読み物資料にも出てくるので、扱う際は参考にしてみてください。
夏も近づいてきました。
大変な日々は変わらずですが、無理をすることなく頑張りましょう。
応援しています。
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