次期振興基本計画の方針は?

働き方

来年度から対象期間を迎える次期教育振興基本計画(令和5~9年度)はウェルビーイング(well-being、心身の健康と幸福)や教育のDX(デジタルトランスフォーメーション)などが柱になる見通しです。

中長期の政策に据えたい考えらしいですが、評価指標をどのように設定するかなど課題も多そうです。

かいざー
かいざー

今回は、そんな次期教育振興基本計画について紹介します。

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心身の健康、デジタル化が柱に

9月中旬に開かれた中央教育審議会の教育振興基本計画部会で、事務局から、これまでの議論の整理が公表されました。

新型コロナウイルス拡大の影響や人口減少、デジタル化による学びの変容……。

こうした社会の変化を受けて、次のように議論を整理しました。

議論の整理

次期計画の基本方針を提示し、次の5つを柱とする考えを示しました。

  • 日本型ウェルビーイングの向上と共生社会の実現
  • 持続的な発展を生み出す人材の育成
  • 地域・学校で支え合う社会の実現
  • 教育DXの推進
  • 基盤整備

政府の総合科学技術・イノベーション会議や教育未来創造会議が掲げている文理横断型教育の推進なども、目標としてこの中に盛り込まれる見通しです。

現行の計画については、1人1台の端末整備や小学校での35学級の整備などを成果として挙げる一方で、教員の長時間勤務や採用倍率の低下などを課題として挙げています。

「協調的」な幸福感も高める

次期計画の新たな柱に据えたのがウェルビーイングです。

OECD(経済協力開発機構)などが提唱している考え方で、経済的な豊かさだけでなく心身の健康を含めた幸福を意味します。

議論の整理

計画に盛り込んだ「日本型ウェルビーイング」について、欧米的な幸福とは異なり、人とのつながりや社会貢献意識を重視した「協調的」な幸福と、自己幸福などからなると指摘しています。

そのバランスを取って、高めていくこととしました。

これまで国際調査で、日本を含むアジア文化圏の子どもの自尊感情や自己肯定感の低さが課題とされてきたが、独自の指標で「幸福感」を捉え直す考えを示唆しました。

一方、国内で「ウェルビーイング」の考え方は、まだ馴染みが薄く、中教審でも何を目指すのか定義を明らかにしてほしい、とする意見が出ました。

議論の整理

ウェルビーイングの実現のために、障がいのある子や外国籍の子など、多様な子供の可能性を引き出す共生社会の実現も掲げています。

かいざー
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共生社会についても、中教審では「学校でどのように理解され、実践されていくかが問題です。

現場のモチベーションが高まるように(議論している)中教審と学校との距離感を意識していくべき」との声が上がっています。

クラウドや教育データ 利活用と推進

教育のDXの推進も新たな柱です。

初等中等教育では、クラウドサービスを活用した次世代型の校務のデジタル化や、教育データの利活用などに取り組むことを示しています。

議論の整理

新型コロナウイルスの感染拡大は世界的にデジタル化の進展をもたらし、教育分野でもICTの活用は日常化したと指摘しています。

現行の計画は、通信や端末の整備目標を掲げていましたが、「GIGAスクール構想」が前倒しで実現したことで、次期計画には、活用に関する、より踏み込んだ目標が盛り込まれそうです。

授業では、目的に応じて遠隔技術を取り入れ、子どもの主体的な学びを支援する「伴走者」としての役割を果たすことを期待し、不登校の子どもにオンライン教育で対応することなども考えられるとしました。

一方、中教審の分科会では、ICT活用について「KPI(重要業績評価指標)にしやすいという理由で形式的なものが指標になってしまうと、整備が形骸化してしまう恐れがある」と警戒する声も上がっています。

おわりに

教育振興基本計画は、改正教育基本法で国に策定が義務付けられました。

自治体の策定も努力義務となっていて、都道府県、政令指定都市、中核市では全てが策定しています。

来年度から始まる次期計画について、中教審は年度内に答申すると言っています。

評価指標の設定に課題はありそうですが、そもそも「こんなに」現場ができるのか。

あれもこれもと、ビルドにビルドを重ねて、教員がパンクしてしまわないかが心配です。

随分と寒くなってきました。

体調を崩しやすい季節ですが、一緒に頑張りましょう。

応援しています。

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