「エトス」……
「パトス」……
「ロゴス」……
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みなさんはこの3つの言葉を知っていますか?
アリストテレスの『弁論術』にでてくる3つの話術です。
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アリストテレスは『弁論術』のなかで、
“人に話を理解してもらうには、この3つが必要”
と言っています。
コロナ禍で保護者の苦情や要望も増えてきていることと思います。
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今回はこの3つを学校現場に取り入れ、保護者対応の具体的なポイントを示していきたいと思います。
※過去記事に「質問・苦情・要望と対応~問題を大きくしない3原則~」があります。あわせて読んでみてください。
「伝える」ということ
「エトス」「パトス」「ロゴス」は最近では「7つの習慣」(スティーブン・R・コヴィー著)でも紹介されています。
コヴィーは「人に話を理解してもらうには、「エトス」→「パトス」→「ロゴス」の順が大切である。」と言っています。
まずは、 信頼してもらう、信頼関係をつくる(エトス)
次に、 相手の気持ちになってコミュニケーションをとる(パトス)
最後に、 筋道を立てて表現し、相手にプレゼンテーションする(ロゴス)
このことは授業でも
生徒の話を聞いて信頼関係ができれば(エトス)……
「生徒が分かっているかな」と考えながら授業をすれば(パトス)……
筋道を立ててわかりやすことばで授業をすれば(ロゴス)……
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きっと生徒は、授業を「受けよう」と気持ちになると思います。
保護者の苦情・要望の対応
学校では日々、保護者の苦情や要望の対応を求められます。
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「エトス」→「パトス」→「ロゴス」の3段階に分けて対応していきましょう。
最初の対応
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① 話を聞く(相手はとにかく話を聞いてほしいです。)
② 説明は事実のみ話す(自分の思いをはさまないことです。)
③ 否定しない(相手はそう受け取っています。教員の思いはひとまず置きます。)
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この時点では「でも」や「お言葉ですが」などで反論してはいけません。
④ 自分たちの非は謝罪する
無謀な謝罪要求をされることがあります。その場合は、「嫌な思いをさせた」と限定的に謝罪をします。
次の対応
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① 様子・対応の連絡をする(相手は即時の対応を望んでいる場合がほとんどです。)
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できれば「当日」か「翌日」、時間も早いほど良いです。
② 不明な点は、確認中である旨を説明する(自分の思いや憶測ははさまないように。)
③ 否定しない(相手の気持ちはまだそれほど変わっていないはずです。)
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ここでも「でも」や「お言葉ですが」などはダメです。
沈静後の対応
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① 端的・明解に説明(わかりやすさ・丁寧さ・ざっくりが重要です。)
② 様子・対応の連絡(相手は気にしていると思うと安心してくれます。)
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僕なら、その後の様子を聞いたりします。
「あのときこういうつもりだった」という付加説明をしても良いでしょう。
ただし、人間関係ができていなければ、相手の怒りが再燃することがあるので注意が必要です。
1度の対応で第1次対応~第3次対応まですべての対応ができる場合もありますが、第1次対応だけで数回・数日かかることもあります。
事例ごとに対応は変わりますが、「受容」と「明解」の姿勢は変わりません。
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稀ですが、場合によっては「即時対応が不適切な場面」もあります。
おわりに
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保護者からの苦情・要望も根底には
「我が子への不利益を何とかしたい」
といった、子をもつ親としては当たり前に抱く思いがあります。
僕たちはその思いと真摯に向き合い、対応していかなければならないと感じています。
保護者対応で悩む、初任者や若手教員のみなさんの力に少しでもなれたら幸いです。
コロナ対応等で大変な時期ですが、一緒にがんばりましょう。応援しています。
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